薬局の営業時間のアレコレ!ドラッグストアのリアルなお仕事について
2024.05.31
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薬剤師の皆さん、転職を考えている方もいるかと思いますが、「年収は魅力的だけれども、休暇が取りにくそうだから」という理由で、転職先の候補からドラッグストアを除外していませんか?
目次
ドラッグストアは高年収ってホント?
多くの薬剤師がそのようなイメージを持っている可能性が高いですね。ドラッグストアで働いている薬剤師の約3割が「ドラッグストアは高年収」というイメージを持っていることが分かりました。
では、実際のところどうなのでしょうか?ドラッグストアで働く薬剤師の年収が、全国の薬剤師の平均年収と比べて本当に高いのかを見てみましょう。
厚生労働省が実施した平成27年の賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の平均年収は男性で587.4万円、女性で502.4万円でした。しかし、リクナビ薬剤師の調査によると、ドラッグストアで働く正社員薬剤師の平均年収は、調剤併設の場合、男性で68万円、女性で37万円も高かったです。OTCのみの場合でも、男性で5万円、女性で48万円高い結果となりました。
このことから、ドラッグストアで働く薬剤師は、多くの薬剤師がイメージしている通り、確かに高年収であることが明らかになりました。
ドラッグストアは給与が恵まれており、高年収という背景があるためか、ドラッグストア勤務の薬剤師に対して「給与に対する満足度」を尋ねると、調剤併設では約67%、OTCのみでは約45%の方が現在の給与に満足しているという結果が得られました。
一方で、他の業種に従事する薬剤師に給与の満足度を尋ねると、病院薬剤師では約43%、調剤薬局薬剤師では約62%という結果が得られました。
以上の結果から、病院との比較では、調剤併設ドラッグストアやOTCのみのドラッグストアともに満足度が高く、調剤薬局との比較では、OTCでは満足度がやや低いものの、調剤併設は同等であることが分かりました。
どうしてドラッグストアは高年収なの?
採用に力を入れていること、経営が安定していること、勤務時間の関係が理由として挙げられます。
ドラッグストアはM&Aや多店舗展開を加速させているため、慢性的な人手不足もあり、採用に非常に力を入れています。そのため、給与水準が高くなる傾向にあります。例えば、新卒の初任給でも年収が500万円(賞与含む)を超える企業もあります。中途採用では、経験や年齢によりますが、600~650万円からスタートし、5年目には年収700万円前後になることもあります。
ドラッグストアの大手はほとんどが24時間365日営業の店舗です。そのため、22時過ぎのシフトや祝祭日・年末年始などにも勤務に入る必要があります。このような勤務時間も、高年収の理由となっています。しかし、最近では大手を中心に新卒採用での充足が増えており、シフトの融通が聞き入れられやすくなっています。
ドラッグストアは調剤だけでなくOTCも扱うため、調剤に比べて利益率が高くなっています。また、OTCや日用品まで幅広く販売しているため、全体として診療報酬改定の影響を受けにくく、経営が安定する要因となっています。
ドラッグストアは休みづらくて忙しい?
ドラッグストアは土日祝日も営業している店舗が多いため、そういったイメージを持つ人は少なくないでしょう。実際、ドラッグストア以外で勤務している薬剤師のおよそ2人に1人が「ドラッグストアは休みがない」というイメージを持っていることが分かっています。
しかし、自分たちの職場の休みづらさについてどのように思っているのでしょうか?各職場ごとに「年間の休暇」に関するアンケート結果を集計したグラフが以下になります。病院勤務の薬剤師が最も「年間の休暇が少ない」と感じており、次いで調剤薬局勤務の薬剤師です。一方、比較的にドラッグストア勤務の薬剤師は、「年間の休暇は多い」と思っているようです。
つまり、ドラッグストアは他の業種の薬剤師が思っているほど忙しくて休みが取りにくい職場ではなく、休みを取りやすい環境を持つ職場と言えそうです。
ドラッグストアは、調剤以外の業務が多そう
ドラッグストアはOTC医薬品の種類が豊富で日用品も取り扱っているため、その管理や販売に関わる業務が多いというイメージを持つ薬剤師は多いようです。ドラッグストア以外で勤務する薬剤師の70%以上が「雑務が多そう」と回答したことが分かりました。
では、実際にドラッグストア勤務の薬剤師が、調剤以外の業務にどのくらい関与しているのでしょうか?
やはり、ドラッグストアでは調剤以外のさまざまな業務にも薬剤師が大きく関与していることが分かります。
ただし、このことをネガティブにとらえている薬剤師ばかりではないようです。接客やポップの作成など販促業務に関わることで、薬剤師業務から店舗運営へ興味を広げ、キャリアアップをしていく道もあります。
ドラッグストア勤務のメリット・デメリット
転職を考えている薬剤師が最も知りたいことは、実際に現場で働いている薬剤師の声ではないでしょうか。そこで、ドラッグストア勤務の薬剤師に、ドラッグストア勤務のメリットとデメリットについて聞いてみました。
メリット
- 勉強になる
- 処方箋が予想以上に多いため、幅広い処方元からの経験が得られ、勉強になる。(30代 女性 調剤併設)
- 様々な科の処方箋を取り扱うことで、知識が深まり、患者の年齢層も広いため刺激的だ。(30代 女性 調剤併設)
- OTCに関する相談もあるため、学ぶ機会が増える。自分が提案した薬が効果的であることが認められた時には、やりがいを感じる。(60代 女性 調剤併設)
- 人間関係がいい
- 若い仲間が多く、活気がある。(50代 男性 調剤併設)
- 売り場のスタッフとの交流があり、閉鎖的な人間関係にならない。(40代 女性 調剤併設)
- 充実した人間関係で、希望の休みを譲り合いながら、趣味に打ち込むことができる。(50代 女性 調剤併設)
- セルフメディケーションに貢献できる
- 病院へ行く時間がない方にも、OTCで対応できる薬を提案し、少しでも役立てることができる。(30代 女性 調剤併設)
- お客様の症状や要望を聞き取りながら、お客様に最適な薬を提案できるので、やりがいを感じる。(40代 女性 OTCのみ)
- 患者さんとの距離が近い
- お客様との距離が近く、些細な悩みも相談してもらえる。お客様に頼ってご来店してくれる。(20代 女性 OTCのみ)
- お客様に喜ばれて再度来店してもらえると、素直に嬉しい。時間と費用を節約でき、喜ばれることもある。(50代 女性 調剤併設)
- その他
- 上場企業であるため、給与体制や福利厚生が充実している。年間で50万以上の退職金積立もある。(50代 女性 OTCのみ)
- 調剤待ちの間に買い物をしてもらえるため、プレッシャーが少ない。(40代 女性 調剤併設)
- 平日の連休が取得でき、静かな旅行が楽しめる。職場が広々としており、シフト制であれば嫌いな人との接触を避けることもできる。(30代 男性 調剤併設)
- 社員割引がある。(40代 女性 調剤併設)
処方箋の数が多く、OTCの相談も多いため、幅広い知識が必要とされる職場です。病院とは異なり、患者さんの日常生活に密接に関わるため、薬剤師としての役割が重要です。また、調剤室での閉鎖的な人間関係に悩む薬剤師もいるかもしれませんが、ドラッグストアでは幅広い年齢層のスタッフが働いており、人間関係を築きやすい環境です。
デメリット
- OTCのフォローまで回らない
- 忙しい調剤業務の中では、OTCのフォローにまで手が回らないこともあり、登録販売者に任せることがある。そのため、OTCについての学びの機会が思ったほど得られないことがある。(30代 女性 調剤併設)
- 調剤や服薬指導以外の業務もある
- レジ業務や品出し、売り場作り、POPの作成など、様々な雑務がある。多様な経験ができる一方で、得意でない業務もある。(60代以上 女性 調剤併設)
- 調剤と店内業務が並行して行われるため、集中力が切れることがある。(40代 女性 調剤併設)
- 祝日の出勤もある
- 土日や祝日、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆など、一般的な休日にも勤務がある。つまり、休日に仕事が入ることもある。(50代 女性 OTCのみ)
ドラッグストアでは、OTCの知識を習得する機会が与えられます。初めてのOTC業務でも、専門的な研修や店内での個別指導が行われており、未経験者でも安心して業務に取り組める環境が整っています。さらに、認定薬剤師取得のための講座や、調剤・在宅業務に関する研修も提供されています。
休日休暇については、365日営業の店舗もあるため、土日や祝日に出勤する場合もあります。しかし、各企業では様々な休暇制度が整備されており、例えば、日曜日や祝日が休みの店舗での勤務や、平日のみのシフト、年末年始に出勤する代わりに最長20日間の長期休暇を取得するなどの選択肢があります。