雀荘開業って難しいの?料金設定や営業許可について詳しく解説致します!
2024.05.31
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オンライン対戦の増加やインターネットの発展にもかかわらず、麻雀の人気はまだ衰え知らずです。日本国内には500万人を超える麻雀プレイヤーがおり、特に近年、麻雀が認知症予防に効果があるという説が広まり、新たな麻雀ブームが起きています。
オンライン対戦や家庭用ゲーム機の台頭にもかかわらず、対面で麻雀を楽しむプレイヤーは多く、雀荘で本格的な麻雀を楽しむことができる場所の存続を支えています。
雀荘を開業しようとする際には、意外にも厳しいハードルがあることが知られていません。そこで、この記事では、マージャン店(まあじゃん屋)を開業するために必要な許可や手続きについて詳しく解説します。
目次
マージャン屋の法的取扱い
一般的には雀荘(じゃんそう)と呼ばれることが多いマージャン屋ですが、実は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)においては、「4号営業」として区分されています。
なぜ「4号営業」と呼ばれるかというと、風営法第2条第1項第4号の条文によれば、まあじやん屋、ぱちんこ屋、その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業を、明確に風俗営業の一形態として位置づけているからです。
風営法は、善良な風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために、風俗営業を区分し規制しています。そのため、雀荘も同様に取り締まりの対象となっています。
なお、雀荘では遊戯の結果に応じて客に景品を提供することは認められていません。一方、パチンコ店については、遊技玉等(パチンコ玉等)の数量に応じた金額と等価の景品を提供する必要があります。これにより、同じ4号営業でも、雀荘とパチンコ店との間には明確な違いがあることが理解されます。
ゲームセンターとの違い
雀荘はすでに説明したように、パチンコ店と同様に風俗営業の「4号営業」に分類されています。しかし、似たような営業形態であるはずのゲームセンターは「5号営業」に分類されており、その違いがよく理解されていないという声も聞かれます。
射幸心とは、幸運や偶然によって思いがけない利益を得ることを期待する心理を指します。雀荘やゲームセンターはどちらも射幸心をそそるおそれのある遊技を提供する営業形態であり、両者の違いはありません。しかし、雀荘がパチンコ店と同じく「4号営業」に分類されることからも、歴史的文化的な背景から見て、雀荘がゲームセンターよりもギャンブル性の高い営業形態として認識されていることが分かります。
麻雀のビデオゲームを設置する場合は、注意が必要です。なぜなら、それは「5号営業」(ゲームセンター)に該当するからです。
料金設定について
雀荘には、特有の規制として遊技料金の設定に制限があります。具体的には、マージャン台が「全自動式」であるか「全自動式以外」であるかによって、以下のように異なる上限額が定められています。
- 全自動式の場合:
- 客1人あたりの時間を基準に金額を決める場合:600円+税/時
- 台1台につき時間を基準にして金額を決める場合:2,400円+税/時
- 全自動式以外の場合:
- 客1人あたりの時間を基準に金額を決める場合:530円+税/時
- 台1台につき時間を基準にして金額を決める場合:2,000円+税/時
風営法4号営業許可
雀荘を営業するためには、営業所を管轄する警察署に申請し、都道府県公安委員会から風俗営業の許可を受ける必要があります。申請の手順は以下の通りですが、申請内容や所轄警察署により差異があります。
- 事前調査
- 申請書類の作成
- 書類の提出
- 実査
- 許可証の交付
風俗営業許可の可否は、営業所の場所や構造が非常に重要な要素です。良物件と思って契約した場所が風俗営業を行うことができない場所だったり、施設が要件を満たせない構造だったりすることもあります。そのため、営業所に関する事前調査は不可欠です。
申請後、約2週間ほどで実査(立入検査)が行われます。この実査は手厳しく、申請内容に不備があれば再提出や再検査を求められることもあります。欠陥が致命的な場合には、申請の取下げを勧告されることもあります。
申請書類に不備がなければ、書類が警察署と警察本部を往復し、約2か月前後で許可証と管理者証が交付されます。補正命令が出ることもありますが、経験豊富な行政書士であれば補正作業にも対応してくれます。
許可の要件
風俗営業許可を取得して雀荘を営業するには、人的要件(ヒトに関する要件)、場所的要件(場所に関する要件)、および構造要件(施設や設備に関する要件)のすべてを満たす必要があります。
具体的には、犯罪傾向がある人や反社会的勢力とつながりのある人は風俗営業に関与することができません。また、適正な地域の風俗を維持するため、病院や学校のすぐ近くに店舗を設けることができません。
人的要件
風営法および風営法施行規則には、風俗営業を営むことができない事由(欠格事由)が明記されています。これらの欠格事由に該当する者は、風俗営業許可を受けることができません。
場所的要件
都市計画法では、地域内に異なる土地や建築物が混在する状況を避けるために、「住居地域」や「商業地域」などのように、さまざまな用途地域を定めて都市内部を整理・区分しています。
風俗営業は住宅地において営業することが望ましくないとされているため、風俗営業を営むことができるのは、原則として住居地域ではない以下の用途地域内に所在する営業所に限られます。
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
- 無指定地域
ただし、これは原則であり、自治体によってはこれら以外の用途地域内でも風俗営業を行うことが認められている場合があります。実際に、都道府県をまたいで申請を行うと、運用方法に違いがあることを実感することがあります。
構造要件
風俗営業では、善良な風俗と清浄な風俗環境を維持するため、営業所内の施設や設備に細かな要件が定められています。
- 客室内部構造:見通しを妨げる設備を設けないこと
- 客室の出入口:施錠の設備を設けないこと(営業所外に直接通ずる出入口は可)
- 営業所の照度:10ルクス超であること
- その他:善良な風俗や清浄な風俗環境を害する恐れのある設備を設けないこと、騒音や振動が一定の数値に満たないこと
「見通しを妨げる設備」とは、高さが1m以上となる設備を指します。具体的には、テーブル、イス、カウンター、観葉植物、ラックなどすべての物品が含まれます。また、極端なL字型の客室の構造も指摘される場合があります。
営業所の出入口には施錠の設備を設けることはできません。営業所の出入口に鍵が付いている場合でも、特に問題ありませんが、個室や二重扉に施錠をすることは認められていません。
また、営業所内の照度は常に10ルクス超である必要がありますが、調光器(スライダックス)を使用することは認められていません。
賞金大会の開催について
雀荘に関する相談の中で、時折受けるのが「雀荘内で賞金の出る大会を開催したい」という内容です。すでに説明した通り、雀荘では遊戯の結果に応じて客に景品を提供することは認められていません。
一方で、インターネット上ではプロ・アマを問わずに参加することができる賞金制の「全国麻雀選手権」が開催されており、「それならば雀荘内で賞金の出る大会を開催しても良いじゃないか」という考え方も理解できます。
しかし、法律はこれを簡単には認めてくれません。基本的に、賞金制の麻雀大会を雀荘で開催することは、刑法や風営法上の観点から禁止されています。