「飲食店を開業する際、どのレジを選べば良いか迷っている」「小規模店舗にはどの程度の機能が必要か知りたい」「複数店舗展開する場合、POSレジは適しているか?」といった声をよく耳にします。
開業時に初めてレジを購入する場合、普段から使い慣れていないため、どれを選べば良いか悩みますよね。しかし、適当に選ぶと、思っていたより機能が不足してしまったり、逆に使わない機能が多かったりする可能性があります。
レジは通常、5~8年使用するものなので、長期的な視野でお店に最適なものを選びたいところです。今回は、レジの種類の説明と、店舗の形態に応じたおすすめを紹介します。
目次
レジの種類について
レジにはいくつかの種類がありますが、「機器」と「POSシステムの搭載可否」によって、レジスター、POSレジ、タブレットレジ、タブレットPOSレジの4つに分けることができます。これから順番に説明します。
レジスター
会計専用のシンプルなレジは、メカレジまたはガチャレジと呼ばれます。ボタンも少なく、操作は簡単です。一般的にはキャッシュドロワとレシート印刷機能が付いています。価格は安く、2万円から数万円程度で入手できます。
ただし、このタイプのレジでは会計以外の機能は利用できません。商品別の売上管理や複数店舗のデータ統合、在庫管理などができないのが特徴です。また、手動操作のため、誤入力のリスクが高く、不正を引き起こしやすい場合があります。
さらに、データ分析を行う際にも時間がかかります。データ収集に手間がかかるため、すぐに分析ができないことがあります。また、閉店後に伝票や在庫との照合作業が必要になります。
レジスターはコストが安い一方で、手作業による時間が多くかかる欠点があります。そのため、小規模な店舗以外ではあまりおすすめできません。
POSレジ
形状はレジスターに似ていますが、ボタンの数や機能が増えています。商品ごとにバーコードを読み取れるため、会計が迅速に行われ、誤入力のリスクが低減されます。売上管理や在庫管理、顧客管理などをリアルタイムで行うことができます。また、売れ筋と滞りがちな商品の把握や、価格データベースの変更によるセールなど、多岐にわたる機能を備えています。
POSレジは大規模店や中規模店に適していますが、来店客が多い小規模店にもお勧めです。
タブレットレジ
iPadなどのタブレット端末にレジ機能をインストールして使用します。画面上のアイコンやボタンの配置や色などが直感的な操作を容易にします。周辺機器とは無線で通信するため、持ち運びも可能です(そのためインターネット接続がほぼ必須です)。レジを置くスペースを取らない利点もあります。持ち運べるので、テーブルで注文を受けたり会計することもできますが、経営をサポートするPOS機能はありません。
タブレットPOSレジ
タブレットレジには、POSの機能が追加されています。従来のPOSレジよりも詳細な顧客管理や商品・在庫管理、さらにはスタッフの勤怠管理が可能です。また、売上データをExcelで出力したり、別のタブレットでもデータを閲覧したりすることもできます。
タブレットPOSレジは、規模や業態を問わず、どのような飲食店でも利用できます。
飲食店向けレジの機能とは?
飲食店向けのレジには、さまざまな機能が搭載されており、店舗の経営をサポートしています。最新のPOSレジやタブレットPOSレジには、以下のような機能が備わっています。
顧客管理
顧客の購買履歴や購入金額などを確認するために、会員情報とレジを連携させることができます。専用アプリを使用すると、収集したデータを活用して顧客分析を行うことも可能です。
クレジットカード決済、ポイント機能
クレジットカード決済端末と連携させると、クレジットカードでの支払いが可能になります。また、店舗独自のポイントカード(会員カード)を発行してポイントを付与したり、楽天ポイントなどの共通ポイントを貯めたり、利用したりすることもできます。
オーダーエントリーシステム(ハンディ)
ハンディ端末から料理の注文ができるOES(オーダーエントリーシステム)とレジを連携させると、テーブル管理が簡単になり、フロアスタッフの負担が軽減され、顧客サービスが向上します。
複数店舗管理(チェーン店、フランチャイズ店でも活用できる)
複数店舗展開している場合でも、1つのアカウントで全店舗のレジを一元管理できます。これにより、本部で全店舗の売上や在庫、人員を把握でき、コスト削減などに貢献します。
分析機能
レジで収集した大量のデータは、パソコンやスマートフォンを使って分析でき、その結果はマーケティングなどに役立ちます。アプリケーションの進歩により、ABC分析やトレンド分析、RFM分析などの高度な分析も簡単に行えます。
飲食店の業態別おすすめレジ
それでは、どの場合にどのレジを選ぶのがいいのでしょうか。以下では、いくつかのモデルケースを見ながら考えてみます。
メニューが少ない小規模なお店
この場合、商品の種類が少ないため、会計時に迅速に入力できますし、売れ筋商品も把握しやすいです。スタッフの人数も限られているため、レジスターでも対応可能ですが、業務の効率化を図るためにも、基本的な機能を備えたPOSレジがおすすめです。
複数店舗展開しているレストラン、居酒屋など
POSレジやタブレットPOSレジがおすすめです。商品数が多い場合や来客数が多い場合は、特に便利です。たくさんの商品を扱う場合、メニュー改廃も頻繁に起こりますし、多くの来客を迅速に処理する必要があります。そのような状況では、スタッフの数も増えがちです。
このような場合、POSシステムを利用することで、レジ前の混雑を回避したり、スタッフの勤怠管理や店舗ごとの売上分析を効率的に行うことができます。また、オーダーエントリーシステムと組み合わせることで、より効果的な運用が可能です。
タブレットPOSレジを利用すれば、お会計時にも便利です。テーブルまで持ち運び、会計をスムーズに行えます。さらに、クレジットカード連携サービスを利用すれば、カード会計も現場ですぐに処理できます。全店舗の売上や在庫状況はクラウド上でリアルタイムに管理されるため、適切な経営判断が可能です。
ファストフードやテイクアウトがあるお店
商品と代金の取引が一般的で、レジの配置も一定です。個人経営の店舗では、通常、15〜20種類の商品が扱われます。このような場合、売れ筋商品を把握しやすく、バーコードリーダーを使ってスムーズな会計を行うPOSシステムが適しています。タブレットPOSレジを導入すれば、汎用端末(たとえば、iPad)を利用できるため、導入コストを抑えることができます。
キッチンカーなどの移動販売
車内のスペースは限られていますし、会計もスムーズに行わなければなりません。そこで、コンパクトなタブレットPOSレジが最適です。時間帯分析を通じて、どの時間帯や場所で何が最も売れたかを把握することで、ターゲット層をより深く理解できます。
コンサート物販やイベント
商品販売などでは、複数のレジを準備して対応することもあります。また、会場にレジを持参する必要があるため、持ち運び可能で複数のレジを一括管理できるタブレットPOSレジが便利です。その画面は直感的で分かりやすく、普段はレジを操作しないスタッフでも簡単に利用できるのも魅力です。