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セルフレジの通し忘れが発生する原因とは?対策や罪になるケースも紹介

人件費の削減や人手不足の解消など、さまざまなメリットがあるセルフレジ。

多くのスーパーやコンビニで導入が進んでいますが、なかには「商品を通し忘れてしまう」というケースもあります。

なぜ、セルフレジでは通し忘れが発生するのか、また、セルフレジの通し忘れで罪に問われるケース・問われないケースを解説していますので、導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。

セルフレジの通し忘れで罪に問われるケース

まずは、セルフレジの通し忘れで罪に問われるケースをみていきましょう。

罪に問われるケースとして考えられるのは、次の3つです。

フルセルフレジで故意にスキャンしなかった場合

1つ目のケースは、フルセルフレジで故意に(わざと)スキャンしなかった場合です。

フルセルフレジとは、購入者がスキャナーなどを使って商品を登録して支払いを済ませるレジのことで、スタッフを介さず一連のレジ業務を顧客自身が対応します。

このフルセルフレジの仕組みを悪用し、わざと商品をスキャンせずに持ち去る事例があります。

このような場合は、刑法36章 窃盗及び強盗の罪、いわゆる「窃盗罪」に問われる可能性があります。

窃盗罪は10年以下の懲役または50万円以下の罰金となり、前科の有無などによって罪の重さが変わります。

出典:刑法|第三十六章 窃盗及び強盗の罪 窃盗罪(第二百三十五条)

セミセルフレジでわざと精算せずに退店した場合

2つ目のケースは、セミセルフレジでわざと精算せずに退店するケースです。

セミセルフレジは商品登録をスタッフがおこない、購入者は精算機を使って支払するレジのことです。セミセルフレジでは、一般的にレジスタッフから精算機での会計を誘導されますが、その際にわざと精算せず退店してしまう状況が考えられます。

こういった場合も、窃盗罪に問われることがあります。このケースでの刑罰は先ほど紹介したフルセルフレジの通し忘れ同様、10年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

出典:刑法|第三十六章 窃盗及び強盗の罪 窃盗罪(第二百三十五条)

退店後に気付いたがそのまま放置した場合

3つ目のケースは、レジの通し忘れに退店後に気付き、そのまま放置した場合です。

基本的にどのケースでも、故意でなければレジの通し忘れや精算忘れで罪に問われることはありません。

しかし、商品の持ち去りに気付いたにもかかわらず、そのまま自分のものにしてしまった場合、刑法38章 横領の罪「遺失物等横領」に問われる可能性があります。

このケースでの罪となる遺失物等横領とは、”本来の持ち主の占有(所持する状態)から離れたものを自分のものにする”ことを指します。

遺失物等横領の刑罰は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金、もしくは科料となります。(科料:1,000円以上1万円未満の支払いが命じられること)

出典:刑法|第三十八章 横領の罪 遺失物等横領罪(第二百五十四条)


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セルフレジの通し忘れで罪に問われないケース

基本的に、「うっかり持ち去ってしまった」場合や「気付いてから代金を支払った」場合などは、罪に問われません。とはいえ、セルフレジの通し忘れが罪になるかどうかはその時の状況によって異なり、判断が難しい一面もあります。

ここで重要なポイントとなるのが、「他人のものを盗もうとする意思の有無」です。

刑法第38条では「罪を犯す意思がない行為は罰しない」と定められており、「うっかり」での持ち去りは罪に問われないとされています。

そのため、基本的にわざと商品を持ち去ろうとした意思がなければ、罪に問われないと考えられます。

ただし、気付いたときに連絡せず自分のものにすると「占有離脱物横領罪」になるケースや、通し忘れを繰り返していることで常習犯とみなされ「窃盗罪」に該当するケースもあります。

セルフレジの通し忘れ(万引き)で逮捕された事例

セルフレジでの通し忘れは「故意である」という証拠がないことも多く、罪に問えるかどうかの判断は容易ではありません。

しかし、過去に発生したセルフレジの通し忘れには、万引きに該当するとして逮捕につながった事例もあります。

セルフレジでの万引きの手口は、典型的なものから巧妙に考えられたものまでさまざまです。

なかでも、ニュースになったセルフレジの万引きには、

  • 一部の商品をスキャンせずにバッグに入れて持ち去った
  • 別の商品のバーコードをかざして実際の会計より安く支払った

などの事例があり、どちらも犯人は特定・逮捕されています。

以下の記事で、セルフレジの万引き事例と手口をさらに詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

関連記事>>セルフレジで万引きが発生しやすい理由|事例・手口と対策方法も解説

セルフレジで通し忘れが発生する原因

セルフレジで通し忘れが発生する原因は、いくつかあります。

ここでは、セルフレジで通し忘れが発生する原因について、3つのパターンを紹介します。

顧客の操作ミス

顧客がレジ操作をおこなうセルフレジでは、顧客自身の操作ミスによる通し忘れが発生しやすくなります。

単純に操作を誤ってしまうこともあれば、高齢者を中心に機械操作が苦手で、通し忘れのミスにつながることもあるでしょう。操作ミスに気付いてすぐに修正できれば問題ありませんが、顧客もスタッフも気付かず、そのままレジを通過してしまうこともあるかもしれません。

また、後ろに人が並んでいることによって焦り、操作を誤ってしまうケースも考えられます。

うっかりミス

「考え事をしていた」「購入する商品が多く一部の商品スキャンを忘れてしまった」など、顧客のうっかりミスも通し忘れの原因の1つです。

普段は問題なくセルフレジを使える人でも、注意力が散漫になりセルフレジでミスをすることもあるかもしれません。

なかでも気をつけたいのが、カートの下段に入れている商品です。カートの上段に置いているカゴの商品に気を取られて、下段に商品を置いていることを忘れてレジを通過してしまうパターンもあります。

システムの不具合

セルフレジでは、システムの不具合により、バーコードの読み取りができないなどのエラーが発生することもあります。

商品の登録中や決済中にシステムエラーが生じた場合、正常に処理されず未払いの状態で持ち去ってしまうこともあるかもしれません。

システムの不具合に対応できるよう、有人レジを併設しておくのも1つの方法です。

セルフレジでの通し忘れ対策

セルフレジでの通し忘れは、正しい対策をとることで最小限におさえることが可能になります。ここでは以下5つの対策について解説します。

  • スタッフを配置する
  • 防犯カメラを設置する
  • レイアウトを工夫する
  • 画像認証AIを活用する
  • 顧客への注意喚起を徹底する

スタッフを配置する

1つ目の対策は、セルフレジの近くにスタッフを配置することです。

セルフレジの近くにスタッフを配置することで、操作ミスやシステムエラーなどのトラブルに迅速に対応できます。

また、セルフレジの近くにスタッフがいることで、操作に不安を感じる顧客に対して「いつでもスタッフに聞ける」という安心感を与えることにもつながります。

防犯カメラを設置する

2つ目の対策は、防犯カメラを設置することです。セルフレジの通し忘れは、大きく「故意によるもの」と「故意ではないもの」の2パターンにわけられます。

どちらのパターンにおいても、防犯カメラを設置しておくことで証拠を残せるため、できればセルフレジ1台ごとに用意しておくのが望ましいです。

また、防犯カメラがあることで「誰かに見られている」という意識を与えられ、故意による通し忘れ防止にも期待できます。

レイアウトを工夫する

3つ目は、レジ付近のレイアウトを工夫することです。

セルフレジ操作中の顧客の手元が見えづらいレイアウトの場合、通し忘れの発生を見つけるのは困難です。

そこで、スタッフのいる場所からすべてのセルフレジが見渡せるレイアウトにするなど、セルフレジの設置方法を工夫し、通し忘れを防ぐことが大切です。

また、レジエリアへの出入り口を一方通行にして、「精算済みの顧客」と「未精算の顧客」が交わらないようにするのもよいでしょう。

画像認証AIを活用する

4つ目は、画像認証AIを活用することです。画像認証AIとは、事前に登録した人物情報をもとに、カメラに映った人物をシステムが検知するIT技術です。

セルフレジでの画像認証AIの活用法には、万引き常習犯や要注意人物を登録しておき、該当人物が来店したらシステムでお知らせするなどが考えられます。

このようなAI技術が搭載された画像認証システムを導入することで、

  • 要注意人物に来店したら行動をチェックする
  • 動きの怪しい人物に声かけをおこなう

などの対応が可能になり、セルフレジでの万引き防止につながります。

顧客への注意喚起を徹底する

5つ目は、顧客への注意喚起を徹底することです。

具体的な方法としては、張り紙やサイネージを使ってセルフレジの使い方を説明したり、万引き防止につながる文言を掲示するなどが考えられます。

また、スタッフによる声かけも有効です。操作に戸惑っている顧客への声かけを積極的におこなうなど、スタッフが近くにいることをアピールするのもよいでしょう。

セルフレジでの通し忘れを最小限にするためには、店舗側だけでなく顧客側にも「レジを通したかどうか」という意識をもってもらうことが大切です。

セルフレジの通し忘れでよくある質問

最後に、セルフレジの通し忘れに関連する、よくある質問と回答を紹介します。

Q.セルフレジで商品を通し忘れたらどうする?

セルフレジで商品を通し忘れたら、気付いた時点で店舗に連絡するのがもっともよい対処法です。

顧客からの「セルフレジで商品を通し忘れた」という連絡を受けた店舗は、代金の支払いについての約束をしておく必要があります。

Q.セルフレジの通し忘れに後日気付いたらどうすべき?

セルフレジの通し忘れに後日気付いた場合でも、商品代金を支払えば罪に問われることはありません。

あまりに悪質であれば、店舗側が被害届を提出することもできますが、初犯の場合やわざと商品を持ち去った証拠がない場合は、罪に問われないケースが多いと考えられます。

Q.セルフレジの通し忘れを放置するとどうなる?

セルフレジの通し忘れに気付きそのまま放置した場合は、犯罪として成立する可能性があります。

ここまで紹介してきたように、気付いた時点で店舗へ連絡して代金を支払えば問題ありません。

しかし、わざと放置した場合や、通し忘れを繰り返し持ち去った商品を放置していた場合は、「占有離脱物横領罪」が成立する可能性もあります。

まとめ

セルフレジで通し忘れが発生すると、「罪になるのでは?」と考える方も多いと思います。

罪になるかどうかは、わざと盗もうとする意思があるかどうかが、判断の重要なポイントとなります。

セルフレジの通し忘れを防ぐには、店舗側がシステムや環境を整えるとともに、顧客自身も「すべての商品をスキャンして代金を支払ったか」など支払いに関する意識をもつことが大切です。

店内に整えられる設備を検討するとともに、顧客への注意喚起をおこなうなどの対策をとり、セルフレジでの通し忘れを防止しましょう。

なお、今回紹介したセルフレジの通し忘れ以外にも、セルフレジで想定されるトラブルについて以下の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

関連記事>>セルフレジはトラブルが多いのか?解消方法などの紹介


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