昨今セルフレジやキャッシュレス決済、整理券の自動発行やモバイルオーダーなど、実店舗型のビジネスにおいてのデジタル化が急速に進んでいるのを感じている人も多いのではないでしょうか。これらの変化はデジタルテクノロジーを導入することによって顧客体験を向上させるための「店舗DX」と言う概念によるものです。店舗DXは顧客満足度の向上だけでなく、人手不足の解消、在庫管理や受発注システム、売り上げ集計を自動化するなど、日常業務の効率化を図ることで店舗側にも多くのメリットがあります。
新たなデジタル時代の変化に対応するためにも、店舗型のビジネスはDX化することが求められています。これからさらに技術が発展していき、人間の手を必要としなくなっていくことを考えると、DX化していないビジネスモデルの店舗は今まさに決断を迫られている状況であると言えるのではないでしょうか。
目次
DX(digital transformation)とは?
DXとは、「digital transformation」の略で、直訳すれば「デジタルの変革」となります。経済産業省が2018年に発表した「DX推進ガイドライン」では、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
なぜ店舗DXが必要なのか
店舗のDX化が必要な理由としては、主に3つ挙げられます。
人手不足
日本の現代社会では、常に少子高齢化が問題視されてきました。それによってすでに多くの企業が人手不足の状態にあると言えます。帝国データバンクが行った「人手不足の動向調査(2023年10月)では、非正社員の人手不足割合を業界別で見ると、「飲食店」が82.0%で最も人手不足であり、「飲食料品小売」が46.4%、「各種商品小売」も37.8%で五位に位置づけしていることを考えると、店舗型ビジネスの人手不足は慢性的であり、その解消のために店舗DXが必要とされているのでしょう。
(出典:人手不足に対する企業の動向調査 2023年10月 https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231103.pdf)
新型コロナの影響
新型コロナウイルスの感染症対策として実店舗での非接触・非対面のニーズが急激に高まり、ほぼ完全にアフターコロナとなった現在でも、マスクの着用率などから見ても、国民の衛生意識が高まっていることから、セルフレジやキャッシュレス決済などの導入は注目を集め続けています。新型コロナウイルスの感染拡大予防の意識は店舗DXの需要を高める要因となったと言えるでしょう。
顧客の購買行動の変化
2023年8月にNIRA総合研究開発機構によって行われた調査によると、個人の消費支出額におけるキャッシュレス決済比率は、70.6%であることが明らかになりました。5年前の2018年に実施された同調査と比べると、19.3%増加しています。この結果からわかる顧客購買行動の変化は、実店舗ビジネスの企業の店舗DX化を促進するものであると言えるでしょう。(出典:https://www.nira.or.jp/)
店舗DX推進で重要な技術
店舗DX推進のために重要な技術は、例としてAI、ロボット、クラウド、5G、ブロックチェーンなどが挙げられます。それでは順番に見ていきましょう。
AI(人工知能)が行える業務は非常にさまざまです。例えばシフト表などを含むスケジュールの最適化、人材配置や在庫管理の最適化、重要書類の管理など、人間が行えば時間がかかる業務を最効率で行うことができます。そのため、人件費節約や人手不足の対策になり、実際にAIを活用している企業も数多くあります。
ロボットは想像の通り、生産ラインや物流業務の自動化などの業務に利用されます。こちらは人手不足対策だけでなく品質の向上にも役立てることができます。
クラウドは「クラウドコンピューティング」を省略した呼び方で、「データやアプリケーションなどのコンピューター資源をネットワーク経由で利用する仕組み」と定義されています。わかりやすく言うと、自社で構築したAIやアプリケーションでなくても、クラウド上に共有されているAIモデルを利用することによって、電子メールや顧客管理、財務会計などの業務を行うことができます。昨今ではクラウドとAIを活用した企業向けのアプリケーションやソフトウェアが数多く提供されています。これらのアプリケーションやソフトウェアはAIやクラウドのことをよく知らなくても使いやすいように設計されており、店舗DX化に役立つのではないでしょうか。
5Gは従来の4Gよりも高速で大容量な通信が可能な無線通信技術です。5Gは、これ自体が革命的な変革を起こすと言うよりか、AIやロボットなどの通信機器を利用する上で根本的に必要な通信手段として利用されています。例えば、自動車の自動運転機能には通信の安定性が必要不可欠です。このように、高度な通信を根本的に支えるために5Gは利用されています。
ブロックチェーンとは、改竄が非常に困難な暗号技術のことであり、2008年に発表されてから今まで様々な分野に革命を起こしてきた。この技術を利用することによって商品の流れや品質情報、支払いのやりとりなどを透明化することができる。
店舗DX化の事例とメリット・デメリット
まずは、店舗DX化の事例として、イオングループを見ていきましょう。
イオングループではDX推進の戦略として、「店舗広告のデジタル化」「セルフレジの導入」「AIでの需要予測」を実行しており、今後はオンラインマーケットとして、大型の倉庫から直接依頼人に届けるサービスを進行中としています。このサービスの実現のためには、配達のためのロボットや、徹底したAIによる在庫管理などの技術を利用する必要があります。
また、これらのサービスは顧客に向けたものでしたが、イオングループのスーパーマーケットである「まいばすけっと」では、従業員が人員が足りていない店舗や時間帯が分かる自社のアプリを利用してシフトを登録することができるというシステムを導入しています。
これまで見てきたように、店舗のDX化には、「顧客満足度の向上」「人手不足の解消」「ヒューマンエラーの削減」「販促の効率化」「在庫管理などの効率化」「業務の効率化」などのメリットがあります。では店舗のDX化のデメリットにはどのようなことが挙げられるのでしょうか。
DXは店舗経営にとって効果的な方法ですが、短期的には成果が出にくく、また初期費用とランニングコストも多くかかるため、資産運用の方法も見込んだ中長期的な計画が必要となってきます。また、必ず成功するといった方法はないため、都度の修正などが必要となってきます。
まとめると、店舗DXのメリットとしては「顧客満足度の向上」「人手不足の解消」「ヒューマンエラーの削減」「販促の効率化」「在庫管理などの効率化」「業務の効率化」などが挙げられ、デメリットとしては「短期的に成果は出ない」「コストがかかる」「確実な方法はない」といったことが挙げられます。
しかし、店舗DXを活用して成果をあげている企業があることも事実です。店舗DX化を先送りにして、時代の流れに遅れを取らないようにも今まさにDX化に踏み切るかどうかの分岐点であると言えるのではないでしょうか。
デメリットを避けるためには、目的を明確にし、現状の実店舗に合わせたスモールスタートで展開すること、中長期的な計画を立て地道に成果を待つことが重要であると言えます。「デジタルによる変革」とはいえ、それを決断し利用するのは人間の手であると言えるのかもしれませんね。
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