こんにちは。無人決済店舗システムを提供しているTOUCH TO GO 編集部です。
近年、都心部を中心に多くのスーパーやコンビニで見かけるセルフレジ。その市場は拡大傾向にあります。一方で、店舗側としては見過ごせない「万引き」に関するニュースを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
どのような店舗であっても万引きは利益損失につながるため、セルフレジの導入に不安を感じるのも無理はありません。そこで本記事では、セルフレジにおける万引きの発生理由や事例、対策方法について紹介します。
目次
セルフレジで万引きが発生しやすい理由
セルフレジで万引きが発生しやすい理由として考えられるのが、「顧客自身で精算する」というシステムによるものです。そこでまずは、セルフレジの仕組みを理解しておきましょう。
セルフレジの仕組み
セルフレジは、その名のとおり顧客自身で決済するレジのことです。
導入するセルフレジによって機能は異なりますが、「商品バーコードのスキャン」「支払い方法の選択」「精算」といった従来のレジ業務を顧客に任せられるのが最大の特長です。
なお、セルフレジは大きく以下の2種類にわけられ、どのようなシステムを導入するかによって従業員の対応範囲が変わります。
- フルセルフレジ:商品登録〜決済まですベて顧客自身でおこなう
- セミセルフレジ:商品登録は従業員がおこない、顧客は精算機で支払う
上記2種類のセルフレジは、店舗での会計プロセスをスピーディにできるなど顧客へのメリットもある反面、「人がいない」という点において有人レジに比べて万引きリスクが高まると考えられています。
一方、上記2つのほかに完全無人での店舗運営を可能にする「レジレス」という自動決済システムもあります。
レジレスは店内に設置されたカメラやセンサーが、来店した顧客を認識し、顧客が手にとった商品や行動を検知して追跡、さらに退店時は自動で決済できるというものです。顧客の行動を追跡できるため、万引き対策や店舗のセキュリティ対策に有効です。
TOUCH TO GO の 無人決済店舗システムは、カメラで人物をトラッキングし、どの棚のどの商品が何個お客様の手に取られたかをセンサーで感知します。
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セルフレジにおける万引き率について
日本国内での導入が進むセルフレジですが、顧客への印象もよく、国内スーパーマーケットのうちセルフレジを設置している割合は31.1%と増加傾向にあります。
ただ、2024年9月時点ではセルフレジの万引き率について政府が調査したデータはないようで、具体的な数値の把握は難しいのが現状です。
一例として、セルフレジが浸透しているアメリカで実施された調査を挙げると、セルフレジを利用したことがある対象者2,000人のうち15%が「故意に万引きをした」と認めているとの結果に。
顧客自身で支払いを完結させるセルフレジのシステムを悪用し、わざとスキャンせずに持ち去るなどの万引きトラブルが発生しているとのことです。
セルフレジは店舗側・顧客側の双方にとって便利で画期的な精算方法ですが、導入にあたって有人レジとは異なる「万引き対策が必須」と考えておくのが望ましいでしょう。
セルフレジでの万引きの判断は難しい
セルフレジは非対面・非接触で人がいなくても精算できるというシステム上、不正しやすい環境を作らないことがポイントとなります。
実際にセルフレジで万引きが発生したとしても、故意におこなったものかどうかを見極めるのは簡単ではありません。
例えば顧客が操作ミスと言い張り、さらに防犯カメラに映った証拠などがなければ、故意での万引きと断定するのは難しいでしょう。
「うっかりスキャンせずにバッグに入れてしまった」というケースや、操作ミス・誤解によって商品を持ち去ってしまう可能性も考えられます。
当然ながら故意による万引きは犯罪ですが、「うっかり」という言い訳が成立しやすいことも、セルフレジでの万引きの判断を難しくしている要因の1つといえるでしょう。
セルフレジの万引きで問われる法律上の罪
セルフレジでの万引きが発生した場合、具体的にどのような罪に問われるのか気になる方も多いと思います。
前述のとおり、セルフレジでの万引きは故意によるものと、うっかり持ち去る可能性の2パターンが考えられます。この2つのパターンの法律上の罪について、以下で詳しくみていきましょう。
故意に万引きした場合
スーパーやコンビニなどのセルフレジで、わざと商品代金を支払わずに持ち去った場合、「窃盗罪」という罪に問われます。
窃盗罪とは他人の財物を盗む行為に対する罪で、セルフレジにおける故意での万引きも該当します。
ただし、窃盗罪を成立させるには「わざと万引きした」というはっきりとした証拠がなければなりません。
セルフレジでは明確な証拠を提示するのが難しいケースも多々あり、顧客が間違えて持ち去ったと言い張れば、罪を問うことは難しくなります。
なお、窃盗罪は10年以下の懲役または50年以下の罰金が処されますが、そのときの状況や不正行為をおこなった本人の犯罪歴などによって罪の重さは変わります。
うっかり万引きしてしまった場合
「セルフレジの操作に慣れておらず焦ってしまった」など、うっかり商品を持ち去ってしまうケースも考えられます。
この場合は基本的に罪に問われることはなく、持ち去ったことに気付いたあと店舗へ申告し代金を支払えば問題ありません。
しかし、商品を持ち去ったことに気付いたにもかかわらず、そのまま自分の所有物とした場合、「占有離脱物横領罪(遺失物等横領)」に該当するおそれがあります。
占有離脱物横領罪とは、自分の支配下にない他人の財物を自分のものにした場合に成立する犯罪のことです。
セルフレジでの例では、精算漏れに気付いたあとも商品代金を支払わずに自分のものとしたケースなどが考えられるでしょう。
占有離脱物横領罪は1年以下の懲役または10万円以下の罰金、もしくは科料の刑罰が命じられます。なお、科料とは1,000円以上1万円未満の支払い刑罰のことです。
セルフレジの万引き事例と手口
セルフレジでの万引きはいつどこで発生するかわからないため、手口を把握し対策をたてることが重要なポイントとなります。そこで、セルフレジの万引きでニュースになった事例を2つ紹介します。
どのような手口で万引きされ、どのように発覚したのかもあわせてみていきましょう。
事例①不適切な数の精算
1つ目の事例は、スーパーのセルフレジでの精算時に、商品の一部をスキャンせずにバッグに入れたというものです。犯人は埼玉県警の警察官で、減給3か月の懲戒処分となりました。
この男性は複数の食料品をセルフレジへ持ち込んだものの、ゼリー1個300円分相当を商品登録せずにバッグに入れて店外へ出たとのこと。
従業員が不正行為に気付き、店の外に出た男性に声をかけて通報、書類送検となりました。
男性は過去にも同スーパーで万引きし注意を受けたことがあり、店舗側は警戒していたとのことです。
このように「他の商品に紛れさせて一部の商品を未精算で持ち去る」という事例は、セルフレジでの万引きの典型的な手口といえるでしょう。
事例②別商品をバーコードにかざし精算
2つ目の事例は、別の商品のバーコードをかざして精算したというものです。
犯人の男性は食料品など4点の商品を購入する際、ほかの商品のバーコードを切って貼り付け、そのままスキャンして商品を登録。
1,113円の肉に102円、950円の果物に42円のバーコードを貼り付け、総額3,000円ほどのところ369円で精算を済ませたとのことです。
ほかの顧客が袋詰めする際、台に置かれていたバーコードが切り貼りされた商品を見つけ発覚。その後の調査で男性の特定にいたりました。
このようなバーコードの偽装による不正行為は「ピッ」というスキャン音が鳴ることから、従業員にすべての商品を登録しているとみせかける巧妙さが感じとれます。
セルフレジの万引き対策として店舗が取り組むべきこと
セルフレジでの万引きは、単純な手口から複雑な手口までさまざまです。なかには「少しくらいならバレないだろう」という安易な考えから犯行におよぶケースも。
しかし、セルフレジでの万引きは適切な対策により、被害を減らすことが可能です。万引きによる利益損失を防ぐためにも、取り組めることがあれば積極的に対策することをオススメします。
ここからは、セルフレジの万引き対策として有効な方法を6つご紹介。導入前や導入後もできることがあれば、ぜひ取り入れてみてください。
万引きされにくいレイアウトを検討する
セルフレジでの万引きは、「人目につきにくい」という環境から発生しやすくなると考えられます。そこで検討したいのが、死角をなくすレイアウトです。
例えば、セルフレジが店の奥にあったりパーテーションで区切られたりしていれば、周囲から隠れて不正行為しやすい環境になるでしょう。
ですが、従業員やほかの顧客が周りにいる環境であれば、万引きを思い止まることができるかもしれません。
そこで、セルフレジの設置エリアや設置方向、店舗出入り口との動線など、さまざまな視点から万引きされにくいレイアウトを考えてみましょう。
従業員の配置場所に注意する
セルフレジの導入により従業員の数が減るということは、監視が少なくなるということでもあります。
そこで、少ない人数でも精算中の顧客全員を見渡せるように、従業員の配置場所を慎重に決めましょう。
先ほど紹介したレイアウトとも通じますが、従業員が立っている場所からは死角ができないようにします。
どのセルフレジにも従業員の目が行き届くことにより、万引き行為の抑制や早期発見につなげやすくなります。
また、サービスカウンターがある店舗では、出入り口が見渡せる方向に設置して従業員を配置するのもよいでしょう。
マニュアルを作成し従業員に周知する
セルフレジエリアでの業務について、マニュアルを作成して従業員に周知するのも有効です。マニュアルには、顧客の行動や表情の観察方法など、心理的な内容を盛り込むのもよいかもしれません。
実際に、九州を中心に全国318店舗展開するディスカウントストア「トライアルカンパニー」では、セルフレジでの万引きに対する研修マニュアルを作成。
従業員による積極的な声かけにより、未精算でのレジ通過件数が25%も減少したとのことです。
出典:セルフレジ普及で万引きの手口に変化 対策の動きも 埼玉県
このように、店舗で働く従業員がセルフレジの万引き対策を正しく理解することで、より多くの不正行為をみつけられるようになります。
防犯カメラや警告表示を設置する
非対面・非接触で買い物できるセルフレジでは、防犯カメラの設置が欠かせません。
というのも、防犯カメラがあることで万引きの証拠を残すとともに、「誰かに見られている」という意識をもたせることにつながるからです。
さらに、防犯カメラで撮影中の映像を店内モニターに流したり、セルフレジ1台1台に小型モニターを設置して手元の映像を表示したりと、リアルタイムで顧客の視覚に訴えるのもよいでしょう。
ほかにも、「防犯カメラ作動中」「警察官巡回中」などの警告表示や、人の顔・目などのイラストのポスターを貼ることにより、万引きを思いとどまらせる効果に期待できます。
防犯面で信頼できるセルフレジの導入を検討する
これからセルフレジの導入を検討するのであれば、防犯面で信頼できるシステムを選びましょう。防犯面で信頼できるセルフレジであれば、不正行為を最小限におさえることが可能になります。
現在セルフレジ導入店舗で活用されている、万引き対策の代表的な機能は次のとおりです。(一般的な万引き対策を含む)
重さセンサー | 商品登録前・登録後の重さを計測 |
カメラ内蔵型セルフレジ | セルフレジ本体に小型カメラを搭載 |
AI万引き防止システム | 監視カメラの映像をAIが解析し不審な行動を検知・警告 |
EASシステム | 専用タグを商品に取り付け、未精算で防犯ゲートを通ると警告 |
また、無人決済店舗を実現する『TOUCH TO GO』のように、来店時に顧客をカメラで認識し、店内での行動を追跡できるシステムもあります。
このシステムでは「どの棚からどの商品が取られたのか」などの細かい部分まで把握できるため、セキュリティ面でも安心です。
TOUCH TO GO のシステム詳細については弊社サイトも併せてご確認ください。
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データ分析を活用して改善施策を検討する
セルフレジは導入して終わりではなく、蓄積されたデータの活用も大切です。データからは顧客の行動履歴や行動パターンなどが把握でき、マーケティング戦略などに役立てられます。
このデータを万引き対策に活用することにより、万引きが発生しやすい時間帯や曜日、商品、さらにどのレジで不正行為が多いのかなども特定できるかもしれません。
ただし、データ分析だけでは万引きの抑止力にはならないため、防犯カメラやセンサーなどとあわせて活用し、万引きさせない店舗づくりへの取り組みが必要となります。
まとめ
セルフレジは店舗にも顧客にも便利な一方で、「導入により万引きが増えるのではないか」という懸念を抱く方も少なくありません。
しかし、店舗のレイアウトや従業員の配置・声かけ、防犯カメラの設置などの対策により、万引きを未然に防ぐことは可能です。
また、AIやIoTなどの最先端技術によりセキュリティの高いシステムも登場しており、不正行為の検知にも役立てられています。
今後セルフレジの導入を検討している方は、本記事で紹介したセルフレジの仕組みや万引き対策を参考に、不正行為させない店舗運営を目指しましょう。
TOUCH TO GO の 無人決済店舗システムは、カメラで人物をトラッキングし、どの棚のどの商品が何個お客様の手に取られたかをセンサーで感知します。
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