【業種別】フランチャイズ開業資金の目安｜融資を受ける際の注意点も解説

【業種別】フランチャイズ開業資金の目安

※金額は目安であり、立地や業態によって変動する可能性があります。

上記の表のように、フランチャイズ開業に必要な資金は、業種によって大きく異なります。ここでは、小売業・飲食業・サービス業それぞれの目安について紹介します。

小売業

小売業のフランチャイズ開業資金は、店舗の規模や取り扱う商品によって大きく異なります。

コンビニエンスストアやドラッグストアなどの場合、店舗面積が広いため、物件取得費や内外装工事費が高額になる傾向があります。

一方、買取専門店やリサイクルショップなどの場合、比較的狭い店舗でも開業できるため、初期費用を抑えられます。

小売業の開業資金の目安は、コンビニや金券ショップで100万円〜400万円程度です。古本やDVDを販売する場合は、在庫を用意する必要があり、2,000万円以上かかることもあります。

飲食業

飲食業では、厨房機器や内装工事に加え、スタッフの採用・研修費用や食材の仕入れコストなどもかかるため、資金総額は比較的高くなりがちです。

開業資金の目安は、居酒屋で900万円〜2,000万円、ファストフード店で300万円〜2,000万円程度となります。

また、テイクアウト専門店であれば00万円からと、比較的低コストで始められる傾向にあります。

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サービス業

サービス業のフランチャイズ開業資金は、業種によって大きく異なります。

学習塾や介護サービスなどの場合、教室や介護施設の確保が必要となるため、物件取得費や内外装工事費が高額になる傾向があります。

一方、ハウスクリーニングや家事代行などの場合、店舗を構える必要がないため、初期費用を抑えることができます。

サービス業の開業資金の目安は20万円〜600万円程度です。物件の規模や設備によっては、融資なしでの開業も可能です。

関連記事>>【最新版】フランチャイズ開業の始め方｜向いている業種・必要資金・成功の秘訣を解説

自己資金が少なくてもフランチャイズは開業できる？

「フランチャイズ＝まとまった資金が必要」というイメージを持つ方は多いかもしれません。

しかし、最近では「0円開業」や「自己資金ゼロでもOK」とうたうフランチャイズも登場しています。

ここでは、0円で開業できるフランチャイズの例と注意点を紹介します。

資金ゼロモデルの例

いわゆる「0円モデル」は、開業時にかかる加盟金・物件取得費・設備費などの初期費用を省いたフランチャイズ形態のことを指します。

主に以下のような業種で採用されています。

宅配弁当フランチャイズ

高齢者向け宅配弁当などでは、自宅を拠点とし、調理済みの食事を本部から仕入れて配達する形式が多く見られます。

物件取得や厨房設備が不要なため、開業時のコストが抑えられるのが特長です。

なかには、加盟金や研修費が免除されるキャンペーンを行っている本部もあります。

在庫レスEC（ネットショップ）

アパレルや雑貨を扱うネット販売フランチャイズのなかには、いわゆる「ドロップシッピング型」を採用しているものもあります。

このモデルでは、商品の在庫管理や発送業務をすべて本部が行うため、オーナーはネットショップの運営や集客に専念できるのが特長です。

パソコン1台あれば開業できるため、物件・設備ともに不要で、初期費用を抑えられます。

開業支援付きの0円モデル

本部によっては、以下のような制度を用意しているケースもあります。

• 業務委託として働いて実績を積んだ後に開業
• 契約社員としてスタートすれば加盟金を免除

このような方式を採用している場合、実質的に自己資金ゼロでのフランチャイズ開業が可能です。

ただし、こうした0円モデルはごく一部に限られており、「完全に0円でリスクなし」というわけではないことに注意が必要です。

初期費用が安くても注意すべき点

「自己資金ゼロ」「開業費用0円」と聞くと魅力的に感じますが、初期費用を抑えた分、別の形でコストがかかるケースも少なくありません。

たとえば、以下のような点に注意が必要です。

ランニングコストが高く設定されている場合

開業時の費用が抑えられている一方で、毎月のロイヤリティが割高に設定されていたり、配送費・システム利用料といった継続的なコストがかかったりするケースがあります。

その結果、売上はあっても利益が思うように残らず、長期的に見ると「割安ではなかった」と感じる可能性もあります。

あらかじめ月々のランニングコストをシミュレーションし、利益率を確認しておくことが大切です。

契約条件が厳しいケースもある

フランチャイズのなかには「一定期間は売上保証がない」「途中解約には違約金が発生する」など、契約の中に不利な条件が含まれていることがあります。

このケースでは開業費が安い分、長期的に本部側に利益が出る仕組みが設計されている可能性があるため、契約前に細かく確認しておくことが大切です。

フランチャイズの開業資金を調達する方法

フランチャイズの開業資金は高額になることが多いため、自己資金だけで賄うのが難しい場合があります。

ここでは、フランチャイズ開業時に活用される主な3つの資金調達方法について紹介します。

銀行の融資を利用する

都市銀行や地方銀行などの金融機関から融資を受ける方法です。実績のあるフランチャイズに加盟する場合、一定の信頼性が評価され、比較的スムーズに審査が通ることもあります。

ただし、審査の際には以下のポイントが重視されます。

• 自己資金
• 収支計画
• 信用情報

特に初めての融資であれば、事業計画書の内容や面談での説明力も問われるため、しっかりと準備しておくことが大切です。

日本政策金融公庫から借入れる

創業支援に積極的な公的機関である日本政策金融公庫では、新規開業者向けの融資制度が充実しています。担保や保証人が不要な場合もあり、低金利で借入れができるのが大きな魅力です。

自己資金要件や事業の見通しなどの条件はありますが、フランチャイズ加盟者の利用実績も多く、初めての開業には心強い選択肢です。

相談窓口も全国にあるため、事前に話を聞いてみるのもよいでしょう。

国・自治体の補助金制度を活用する

国や自治体では、中小企業や小規模事業者の開業を支援するために、さまざまな補助金制度を用意しています。

これらの補助金制度を活用することで、開業資金の一部をまかなうことができます。

補助金制度には、対象となる業種や要件が定められているため、事前にしっかりと確認する必要があります。

また、補助金は申請から交付までに時間がかかるため、余裕を持って申請するようにしましょう。

開業資金の融資を受ける際の注意点

融資はフランチャイズ開業において強力な支援手段ですが、誰でも簡単に希望額が借りられるわけではありません。ここでは、融資を検討する際に知っておきたい3つの注意点を紹介します。

1,000万円以上の融資は難しい

多くの場合、実績のない人が1,000万円を超える融資を受けるのはハードルが高いとされています。

日本政策金融公庫などの公的融資でも、1,000万円を超える場合は厳しい審査があり、事業開始前の実績や民間金融機関との協調融資でないと難しいケースが多いです。

そのため、初期費用が高額になりそうな業種を選ぶ場合は、あらかじめ自己資金を多めに準備しておくか、コストを抑えられる業態を選ぶなど、計画的に進める必要があります。

本部により審査の難易度が変わる

フランチャイズ本部の信用力や実績によって、融資の通りやすさに差が出ることもあります。

実績が豊富でサポート体制の整った本部であれば、金融機関からの信頼も得やすく、審査がスムーズに進む可能性があります。

逆に、知名度が低く実績の少ないブランドの場合は、事業としての信頼性が見劣りしてしまうこともあるため、融資面でもやや不利になる可能性があります。

審査の通りやすさを把握しておくためにも、本部の過去の開業実績や融資事例を確認しておきましょう。

事業計画は自分で作る

フランチャイズ本部が事業計画をサポートしてくれる場合もありますが、できる限り自分の言葉で計画を立てることが大切です。

融資の審査では「この人に事業を任せられるか」が見られており、本人の理解度や熱意も評価の対象になります。

事業の仕組みや数字の根拠を自分の言葉で説明できるようにしておくことで、説得力も増し、審査通過の可能性も高まります。

本部のフォーマットをベースに、自分なりの視点で計画を肉付けするのが理想的です。

フランチャイズの開業資金を抑える方法

「開業してみたいけど資金が不安…」という方も多いと思います。そこで、初期費用の負担を軽減できる2つの方法を紹介します。

優遇制度のあるフランチャイズを探す

フランチャイズ本部によっては、開業支援キャンペーンや、一定の条件を満たした人向けに優遇制度を設けているフランチャイズもあります。

たとえば「ロイヤリティが一定期間無料」「加盟前に契約社員として働くと加盟金を免除」など、初期負担を軽くする取り組みを行っている本部も存在します。

公式サイトや資料請求時に、キャンペーン情報や開業支援制度の有無をチェックしておくとよいでしょう。

加盟金がないフランチャイズを選ぶ

フランチャイズの中には、加盟金がないフランチャイズも存在します。

加盟金はフランチャイズ開業にかかる費用の中で大きな割合を占めるため、加盟金がないフランチャイズを選ぶことで、初期費用を大幅に抑えられます。

ただし、加盟金がないフランチャイズは、ロイヤリティが高く設定されている場合や、サポート体制が充実していない場合があるため注意が必要です。

フランチャイズ契約の内容をしっかりと確認し、慎重に検討しましょう。

フランチャイズで失敗しないための資金面の注意点

フランチャイズ開業では、資金調達やコスト管理が成功の大きなカギを握ります。

融資の審査に通ったとしても、開業後の資金繰りに苦労するケースは少なくありません。

ここでは、準備段階から開業後までに陥りやすい資金面の落とし穴と、押さえておきたいポイントについて紹介します。

初期費用が予想以上にかかる例

開業に必要な金額はあらかじめ本部から示されますが、実際には想定より費用が膨らむケースも珍しくありません。

とくに注意したいのが、物件取得費や内装工事費です。

フランチャイズによっては、指定された内装デザインや設備仕様に従う必要があり、当初の見積もりより大幅に費用が増えることがあります。

また、保証金や看板設置、保険加入など契約時には詳しく説明されていなかった項目に追加費用が発生することもあります。

こうしたリスクを避けるためには、あらかじめ複数の業者から見積もりを取り、項目ごとに費用を把握しておく必要があります。

できれば、実際にフランチャイズを開業した経験者の声も参考にしておきましょう。

売上が軌道に乗るまでの運転資金を確保する

開業直後から売上が安定するとは限らないため、一定期間の赤字を見込んだ運転資金の確保が欠かせません。

たとえば、毎月かかる以下のような費用は、売上の有無にかかわらず必要となります。

• 賃料
• 共益費
• 人件費
• 商品の仕入れ
• 本部へのロイヤリティ
• システム利用料

上記の費用を支払えるだけの資金が手元にないと、せっかく開業しても早期に資金が尽きてしまう可能性があります。

最初の数か月間は売上ゼロでも耐えられる資金計画を立てておくことで、経営が軌道に乗るまでの時間をしっかり乗り切ることができます。

開業後のコスト削減の工夫

収益を安定させるには、売上を伸ばすだけでなく、支出を抑えることも大切です。開業後のコストを少しずつ見直すことで、利益率の改善につながります。

人件費は、売上が不安定なうちは最小限に抑えることが基本です。

家族の協力を得たり、ピークタイムだけアルバイトを雇ったりするなど、柔軟な体制を工夫しましょう。

仕入れについても、必要以上に在庫を抱えないよう調整が必要です。

売れ筋とそうでない商品を見極め、無駄のない発注を心がけることが利益確保につながります。

また、空調や照明の使い方、インターネット回線の見直しなど、光熱費や通信費を抑える取り組みも有効です。

こうした日々の工夫を積み重ねることで、長期的に安定した経営につながっていきます。

フランチャイズオーナーの年収はどれくらい？

フランチャイズで開業する際、気になるのが「どのくらいの収入が得られるのか」という点です。

業種や立地、経営スタイルによって年収には大きな差がありますが、ここでは代表的な目安と、収入を左右する要素を紹介します。

業種別オーナー収入の目安

小売業では、コンビニで年収400万〜700万円ほどが一般的な相場です。複数店舗を運営すれば年収1,000万円を超えるケースもあります。

飲食業では、居酒屋やファストフード店などで年収400万〜1,000万円ほどが目安です。ただし、原価や人件費の影響を受けやすく、収益が安定するまで時間がかかる場合もあります。

サービス業では、ハウスクリーニングや訪問介護などが比較的低コストで始めやすく、年収500万〜900万円程度が期待できます。

自宅を拠点にすれば、固定費を抑えやすい点も特徴です。

以下の記事で、フランチャイズオーナーの年収についてさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

関連記事>>フランチャイズと独立開業の違いとは？始め方や成功のポイントも解説

年収を左右する要素

オーナーの収入は、単純な売上だけで決まるわけではありません。実際には、費用のかかり方やお金の残し方によって、大きく変わってきます。

たとえば、家賃の高い立地に出店すれば集客が見込める反面、固定費が重くのしかかり、思うように利益が残らないこともあります。

また、人件費が多くかかれば経費がふくらみ、収益を圧迫する原因になります。

さらに、ロイヤリティの仕組みにも注意が必要です。

売上に応じて一定割合を支払う方式の場合、売上が伸びても負担も増えるため、思ったほど手元に利益が残らないというケースもあります。

ロイヤリティの金額だけでなく、「定額制」か「売上連動」かといった支払い方式についても、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

よくある質問（FAQ）

ここからは、フランチャイズ開業を考えるにあたり、多くの人が気になるポイントを解説とセットで紹介します。

Q. フランチャイズで資金ゼロ開業は可能？

一部の業種や本部では、初期費用を大幅に抑えた「資金ゼロモデル」を打ち出しているところもあります。

たとえば、宅配弁当や在庫を持たないネット販売などでは、物件取得や設備投資が不要な場合があります。

ただし、完全にお金がかからないわけではなく、研修費や毎月のロイヤリティ、広告費などが必要になるケースが多いため注意が必要です。

「資金ゼロ」はあくまで入り口の話として捉え、運転資金や初期の出費を現実的に見積もることが大切です。

Q. フランチャイズ開業には平均いくら必要？

必要な資金は業種や出店形態によって大きく異なりますが、一般的には自己資金で300万円前後、総額で500万〜1,500万円程度がひとつの目安とされています。

ただし、自己資金が不足していても、日本政策金融公庫や銀行融資、補助金制度を活用することで開業は可能です。

事業計画がしっかりしていれば、自己資金が100万円未満でも融資を受けて開業できるケースもあります。

Q. オーナーの年収はどれくらい？

小売業やサービス業では年収300万〜700万円前後、飲食業では400万〜1,000万円ほどが一般的な水準です。

複数店舗を経営したり、コスト管理を徹底したりすれば、年収1,000万円以上を目指すことも可能です。

ただし、立地や人件費、ロイヤリティの負担によって利益が圧迫されることもあるため、収入には個人差があります。

Q. 融資を受けるにはどうしたらよい？

まずは事業計画書をしっかり作成することが第一歩です。

「収支の見通し」「ターゲット層」「競合との差別化ポイント」などを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

初めての開業であれば、日本政策金融公庫の新創業融資制度が活用しやすく、担保や保証人が不要なケースもあります。

融資を検討している場合は、早めに金融機関や創業支援窓口へ相談してみることをおすすめします。

まとめ

フランチャイズ開業では「どの業種を選ぶか」だけでなく、資金面の準備が成功のカギを握ります。業種によって必要な費用は大きく異なるため、細かい内訳を理解しておくことが大切です。

資金が足りない場合でも、融資制度や補助金を上手に活用すれば、無理のない形で開業を目指せます。

また、初期費用を抑えられるフランチャイズや、開業支援制度のあるブランドを選ぶことで、挑戦のハードルを下げることも可能です。

現実的な資金計画を立てて、無理なくスタートできるように準備していきましょう。

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